教師
学びの演出家
国際基督教大学(ICU)大学院行政学研究科博士後期課程満期退学。ICU高校公民科教諭を経て、2003年より現職。“全身で学ぶ”獲得型学習にかかわるアクティビティとスキルについて研究し、その体系化を図り、獲得型教育に携わる教師の(自己)研修プログラムを開発・普及することを目的に獲得型教育研究会を設立。
著書に、『討論や発表をたのしもう-ディベート入門』(ポプラ社)、『国際感覚ってなんだろう』(岩波ジュニア新書)、『学校の居心地 世界と日本』(学事出版)、『教育における演劇的知』(柏書房/第42回演劇教育賞・特別賞)、『中高生のためのアメリカ理解入門』(明石書店・編著)など。
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第1章 学びの演出家としての教師
学習スキル、シティズンシップ、演劇的知
未来市民の演出ノート『エミール』
社会変動と教師像の変容
教師の専門性の析出─アクティビティによる学びへ
シティズンシップと演劇的知
「教師・第二の誕生」の可能性を探る
第2章 参加・獲得型授業をめぐる状況と展望
1 今、授業の何が問われているのか
試行から成熟の時代へ
学習スキルの内在化とハードル
学びの分水嶺を越える
振子は本当にふれたのか
「学力」と「ゆとり」の二項対立を越えて
2 学習スキルのミニマムとはなにか
全身での知的探求をうながす獲得型授業
参加型学習の定着─4つのフェーズ
教師の自己トレーニングから見えてきたもの
コトバ、身体、モノ─表現活動の3つのモード
動ける身体の形成
参加の前提が問われている
「自学」と「参加・表現」のスキルとは
基礎というものの考え方
学習スキルを市民的スキルに開く
第3章 日本の教師は総合学習とどう向き合ってきたのか
1 総合学習に展望はあるか
「空っぽの器」の誕生─「総合的な学習の時間」とは
現場の模索─移行措置の経験
総合学習に吹く逆風
教育現場に広がる温度差
二重の逆説
総合学習が変える学び─知識注入型から獲得型へ
プロジェクト学習─北米の動向
総合学習で得られる達成感
変わる教師の資質─表現者・学習者・援助者として
総合学習がつなぐ学校・地域─学校文化へのインパクト
学校が新しい公共空間になる─スクール・コミュニティー
総合学習に未来はあるか
2 未完のプロジェクトとしての総合学習
文部科学省のねらい
「総合」出発時の状況
公立中学校教師の声
不十分なサポート体制
「読み替え」で対応する高校側の事情
中高一貫校の事例
新たな模索
人の流れを変えた─オンリー・ワン・イン・青陵
揺り戻しの中でこそ冷静な分析を
第4章 教師たちの総合学習─あかり座の九〇〇日
参加型学習定着の主体的条件
アメリカ理解教材の作成と普及─3つのステージ
アクティビティを用いる─試行授業とあかり座公開授業
メンバーの変容
教材のコンセプト
強力なサポート・チーム
現地取材─北米大停電に遭遇
教材作成のポイント─人物像を描く
“読み物”を書く難しさ
Eメールの効用
あかり座公演─生徒たちの反応
教師の振り返り
21世紀への示唆
なぜアメリカ理解教材だったのか
第5章 「ドラマによる学び」の演出
“学びを全身化する”方法
1 学習プロセスの演劇的デザイン─エデュケーション・ナウ15
“It's all about the MONEY”を事例として
演劇と授業改革の関わりをさぐる
エデュケーション・ナウの変遷
エデュケーション・ナウ15の準備作業
スキット「銀子のお金物語」に取り組む
学習のプロセス
教師の役割
演劇を授業改革に結びつける視点
2 100人が「ドラマをくぐる」授業(大学編)
演劇的プレゼンテーション─準備期間は2ヵ月
参加型で学ぶ教職科目
テーマは「大学卒業後の進路」
知的発見のプロセスを創造的活動につなぐ
ドラえもん登場
のび太くん「自分探し」の旅へ
専門家の目
参加感を高める配慮
学生たちからのメッセージ
「ドラマを生きる」授業へ
第6章 教師トレーニングとドラマワーク
ドラマ教育への接近
ドラマ教師に求められる総合的力量
大学授業における実践事例
演劇的技法とその教育的効果
ティーチャー・イン・ロール(Teacher-in-Roll)
ホット・シーティング(Hot-Seating)
現職教育とドラマワーク─「あかり座」教師たちの模索
ティーチャー・イン・ロールの応用事例
ホット・シーティングの応用事例
演劇的技法の応用可能性を探る
あとがき