戦争と民衆
戦争体験を問い直す
戦争に巻き込まれたさまざまな立場にいる人々の視点から、戦争によってもたらされた生活の被害、戦時下の諸問題を多角的に検討する。
著者 | 三谷孝 編 |
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ジャンル | ■社会・労働・法律 |
シリーズ | シリーズ > 社会・労働・法律 > 一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書 |
出版年月日 | 2008/04/10 |
ISBN | 9784845110681 |
Cコード | 3036 |
判型・ページ数 | A5・328ページ |
定価 | 4,950円(税込) |
本書は、一橋大学社会学研究科の「先端課題研究・戦争と民衆-戦場・銃後・伝承-」の中心的な成果をまとめたものである。
戦争は人類の歴史とともに古くから存在して現代にいたっているが、それが国家・社会に与える重大な影響から、常に強い関心の対象とされてきた。20 世紀に発生した戦争の多くは近代兵器を駆使した総力戦として、戦闘員だけでなく非戦闘員である多くの民衆を巻き込む大規模で悲惨な戦禍をともなうものとなった。戦争に巻き込まれた民衆の立場からその体験を記した無数の記録は残されているものの、これまでの戦争史研究においては、主として戦争発生の原因、開戦に至る外交史、戦争の経過、勝敗の分岐と戦争の終結、戦後処理など戦争に直接関わるプロセスが検討の対象とされることが多かった。
本書では、兵士や労働者として戦争に動員される、住み慣れた町や村が戦場となって悲惨な戦禍を被る、戦争に協力して戦時体制を支える、戦争遂行に抵抗する等々、さまざまな立場において戦争に巻きこまれた民衆側の視点から、戦争によってもたらされた民衆生活の直接・間接の被害、戦争の記憶・伝承、戦時下の教育等の諸問題を、多様な専門分野(社会史・思想史・社会学・教育学)の、研究の対象とする地域(日本・朝鮮・中国・ヨーロッパ)も異なる研究者が協力して多角的に検討する。
第1 章〈戦争体験〉--全体像をめぐる〈人間〉の営み……濱谷正晴
第2 章 東井義雄の戦中・敗戦体験とペダゴジー……木村 元
第部◎原爆体験
第3章 原爆被害者と「こころの傷」……直野章子
第4章 ある被爆者の原爆体験と証言活動……源氏田憲一
第部◎沖縄戦
第5章 沖縄戦と民衆……林 博史
第6章 本土における沖縄戦認識の変遷……小野百合子
第部◎中国大陸での戦争に関連して
第7章 中国における戦時性暴力をめぐる記憶と記録……内田知行
第8章 ある「シベリア抑留」のライフストーリー……佐藤美弥
第9章 中国東北地区における朝鮮族部隊について……李 海燕
補論 「防衛のための戦い」の記憶……阪西紀子