ここまでできる働きざかりの介護

ここまでできる働きざかりの介護

介護で仕事をやめないために、親が元気なうちにしておくことは何か。働きながらの介護をサポートする、今日から使える知識が満載。

著者 小山朝子
ジャンル ■社会福祉・介護
シリーズ シリーズ > 社会福祉・介護 > ワーク介護バランス
出版年月日 2015/06/10
ISBN 9784845113811
判型・ページ数 A5・88ページ
定価 本体1,200円+税

この本に関するお問い合わせ・感想

小山朝子(こやま・あさこ)
介護ジャーナリスト、介護福祉士。20代から9年8ヵ月、洋画家の祖母を介護した経験をもとに、
当事者・ジャーナリスト・介護職の視点から各地で講演。
執筆活動のほか、テレビや雑誌等での解説・コメントも多い。
『朝子の介護奮戦記』(まどか出版) 『イラスト図解 アイデア介護(全5巻)』(旬報社)ほか著書多数。
現在、日本在宅ホスピス協会役員、高齢者アクティビティ開発センター講師・評議員、
東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About(オールアバウト)「介護福祉士」ガイド等
もつとめる。

はじめに
ある朝、母は上司からの電話に、「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか!」と取り乱し、涙を流していたことがありました。約一〇年にわたる介護生活のなかでも、忘れられないシーンのひとつです。
介護していた祖母は体に複数の管が入っており、自力では身動きひとつできない状態でした。毎朝、着替えや排泄のケア、顔ふき、整髪などの介助を行う必要がありました。外で働く母の代わりに私がやればよかったのですが、母は自宅で働く私に気を遣い担ってくれていたのです。そのために、母はしばしば遅刻していました。先の電話は、それをとがめる内容だったのでしょう。
その後、毎朝ヘルパーに来てもらうことでわが家の問題は解決したものの、母の勤務先に従業員が柔軟な働き方ができる介護支援策や理解ある上司がいれば、母は精神的苦痛を受けずにすんだかもしれません。「仕事と介護の両立」について私が問題意識をもつきっかけとなった出来事でした。
近年「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)が唱えられ、二〇〇七年には「ワーク・ライフ・バランス憲章」(二〇一〇年改定)が策定されました。こうしたことから、街で男性が子供をあやす光景も見かけるようになりました。多くはありませんが、育児休業を取得する男性を会社が理解する風潮も出てきたようです。
それにくらべ、介護休業法はその存在を知らない人も多く、取得者もごくわずか。働きざかりの社員が介護の問題でひそかに悩んでいる現状があります。
超高齢社会である日本の社会や企業が「介護」を理由に貴重な戦力を失いかねないのではないか。警鐘を鳴らす意味合いと、本書をきっかけに「介護に理解ある職場づくり」が広がることの期待を込め、「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、あえて「ワーク介護バランス(仕事と介護の両立)」とタイトルをつけました。
しかしながら、「両立」や「仕事は辞めるべきではない」と強調していないのも本書の特徴です。介護の問題はご本人の思い、家族の思い、加えて家庭の環境などさまざまな要因がかかわるため、その両立が難しい場合が往々にしてあるからです。「介護に専念するアンバランスな時期もあっていいのではないか」というのが、介護と仕事の両立経験のある私と担当編集者ふたりの共通の見解であり、本書ではこうした思いを踏まえています。
さらに、公的な制度の解説はもちろん、本書では「自分の状況」をふり返ることができるチェックシートを随所に盛り込むほか、進化している民間のサービスの紹介なども柔軟に取り入れ、介護に直面しているワーキングケアラーやこれからワーキングケアラーになるかもしれないビジネスパーソンが今日からでも使える内容となることを心がけて執筆しました。
ワーキングケアラーのためのコミュニケーション術などを紹介する二巻目、企業の介護施策を紹介する三巻目もあわせてお読みいただけるとより理解を深めて頂けるでしょう。
長い人生、順調な時ばかりではありません。目の前のことをひとつずつ整理してこなしていくことも、逆境の時期を過ごすひとつの方法かもしれません。
介護という「人生の練習問題」を解くうえで、本書が小さなヒントになることができれば幸いです。

二〇一四年一〇月  台風一過の秋晴れの日に

シリーズ ワーク介護バランス
働きざかりの40代、50代、とつぜん親が倒れたら、あなたはどうする?
介護が仕事か、悩めるときに提案するのが「ワーク介護バランス」(仕事と介護の両立)
「介護と仕事の両立で悩んでいる」「これから介護と仕事が両立できるのか不安」という
ワーキングケアラーに向けて、介護保険制度など基本的な知識はもちろん、
介護「時短」のためのアイテムや工夫、上司・同僚とのコミュニケーション術、
シングル・夫婦・一人っ子介護などシチュエーションが異なる場合の対応法、
さらに、「ワーク介護バランス」をめざす企業の取り組みなどを紹介するシリーズです。
はじめに
第I章 はじめての介護であわてないために
1 介護が必要になるおもな要因
  ピンピンコロリを望んでも/要介護になる要因とは/
  「ワーク介護バランス」は向きあわざるをえない課題に
2 親が入院したら、しておきたいこと
  退院後も役立つ「既往歴メモ」 /医師と話すたびに「目安」の確認を/
  医療ソーシャルワーカーをご存じですか?
3 病院や施設を選ぶ際のヒント
  介護が必要になったらどこで暮らす?/在宅へもどるまでの「つなぎ」の施設もある/
  入念に調べても「想定外」なことは起きる
4 活用できる機関と知っておきたいサービス
  介護保険以外のサービスを知っていますか?/家族同士が情報共有しあえる場がある/
  窓口へ出向けないワーキングケアラーは
【コラム】「相づち」より「解決」を望む家族もいます!

第II章 味方につけたい制度の基礎知識
5 介護保険制度 きほんのき? まずは申請を
  閉じこもりがちな父親に外出してもらうには/四〇歳以上のあなたはすでに加入者です/
  認定調査は家族も同席を
6 介護保険制度 きほんのき? サービスを利用する
  要介護認定の結果が決まったら/今後、特養の入所は要介護3以上に/
  ケアマネジャーがよき相談相手に
7 介護保険制度 きほんのき? 二〇一五年改正とさまざまなサービス
  「通い」のサービスで表情も変わった/軽度者の「通所介護」と「訪問介護」を除外/
  「福祉用具のレンタル」や「住宅改修」も一割負担
8 「案外助かる!」 自治体独自のサービス
  一人暮らしの親が心配な人は/「かゆいところに手が届く」重度者向けのサービス/
  自治体のホームページはぜひチェックを
9 成年後見制度?認知症の人の財産トラブルに遭遇したら
  伯母さんの家に高級羽毛布団が/ある程度判断能力がある人には社協のサービスも/
  認知症が疑われる場合には
10 介護休業法?使わなければはじまらない
  介護休業は「準備のための期間」/短い期間であれば「介護休暇も」/
  企業により温度差がある実情
【コラム】福祉用具の活用で家族の睡眠時間をつくる

第?章 活用したい介護を助けるサービス
11 一人暮らしの親の「食事」が心配
  コンビニも参入する宅食サービス/実家に届ける手間が省けるネットスーパー/
  摂食・嚥下障害向きの商品もある
12 離れて暮らす親の見守り?続々登場する新サービス
  身近な家電で見守りサービス/遠距離派には「スカイプ」が活躍/
  転倒を検知できる緊急通報サービスもある
13 民間の介護保険選び?自分のため、親のために
  独身の私が頼れるのはやはり「お金」/支払基準や保障の内容、保険料はさまざま
14 一人で抱え込まないための医療のサービス
  時間看護師を頼める会社もある/薬剤師が訪問し残薬の確認もしてくれる/
  相談はできるだけ顔が見える相手に
【コラム】手間をかければ喜ばれるとは限らない!?

第IV章 介護を楽にするための心得
15 困ったときの対処術  アタマ・お金・モノの整理
  やるべきことを書き出してみよう/兄弟でお金の話をするときは/物を減らすと混乱も減る
16 「自分時間」  朝活・時短家電でかしこく生きる
  介護する側が「ショートステイ」に/「朝活」で自分と向きあう時間を/
  「時短家電」を活用し、かしこく生きよう
17 今からできる介護の備え
  親の「生きがい」を答えられますか?/言いづらいことを切り出すには/適度な距離感も必要
18 離職という選択も否定しない
  介護を活かし、活躍の場を見出した人たち/増える「ケアメン」/「アンバランス」な時期もあってもいい

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