ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?

ナベテル弁護士が教える残業代のカラクリ

ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?

読まないと損をする!日本屈指の残業代のプロフェッショナルが教えるサービス残業地獄からの突破法。POSSE代表 今野晴貴氏推薦

著者 渡辺 輝人
ジャンル 単行本
■社会・労働・法律
■社会・労働・法律 > 労働
出版年月日 2014/12/22
ISBN 9784845113934
Cコード 0036
判型・ページ数 4-6・184ページ
定価 1,650円(税込)

この本に関するお問い合わせ・感想

渡辺輝人(わたなべ・てるひと)
1978 年生まれ。弁護士。千葉県立小金高校卒業後、上智大学法学部に進学。大学卒業後、2005年弁護士登録(京都第一法律事務所所属)。日本労働弁護団常任幹事。過労死弁護団全国連絡会議所属。残業代計算Excel「給与第一」開発者。労働者側の立場で賃金請求のみならず解雇、雇い止め、労災・過労死などの事件を扱う。Yahoo! 個人ページで時事エッセイを執筆するなどインターネット上でも活動している。

 この本の目的は、まず、日々アルバイトに従事し、または就職活動中の学生さんや求職中の人、そして現に労働者として働いている人たちに対して、残業代の法律的な意味、社会的な役割、現在の状況をなるべく平易に説明することにあります。そういう意味で、本書は一般向け法律書です。
 そのうえで、これらの人たちが、企業の求人広告や毎年発行される『会社四季報』(東洋経済新報社)に記載されたデータ、自分の会社の就業規則や給与明細などを元に、残業代を軸として、その企業の労働条件を分析する方法を説明することも本書の目的です。わが国の企業では月給制が広く採用されていますが、月給制の残業代の計算方法は非常に複雑です。しかし、求人広告や『会社四季報』に掲載されたデータを使用すると、かなりの程度、残業代に関する分析が可能です。それはその企業の労働時間や労働日数などの他の労働条件を知ることにもなります。また、ブラック企業は、法律を悪用・脱法する場合が多いので、法律的な分析を通して、その企業がブラック企業かどうかも一定、判断することができます。本書を読めば、ワタミの新卒賃金のカラクリも理解できるでしょう。そういう意味では、本書は労働者の立場からの企業分析の本であり、一種のブラック企業対策本でもあります。
 そして、最後に、本書は、労働者が自分の身を守り、残業代を請求するための方法を解説することも目的としています。そういう意味で、この本は労働者が権利行使をするための実践本でもあります。
 したがって、この本の性格を一言で表すなら「残業代を軸に会社と社会を分析し、権利行使するための本」ということになります。
 有名な法格言に「権利の上に眠る者を法は保護しない」というものがあります。最近でも、たとえば、貸金業者の暴利とも言える利息の問題があり、一時は消費者が貸金業者から「腎臓や目玉を売って金作れ」と言われる状況すらありました。これに対して、消費者金融問題を専門にする弁護士などの専門家と被害者、支援団体の粘り強い闘いが行なわれた結果、貸金業者に取引履歴の開示義務を課し、また、?グレーゾーン金利?を事実上否定する最高裁判所の判例を勝ち取りました。そして、ついに二〇〇六年の貸金業法の改正により、グレーゾーン金利が正式に否定されることになりました。この件についてはその後に発生した?過払いバブル?といくつかの弁護士事務所や司法書士事務所のテレビCMなどの派手な広告のイメージばかりが先行しています。しかし、これは、消費者が権利に目覚め、闘った結果として生まれた大きな果実に、ある種の人々が飛びついた現象なのです。
 もちろん、消費者問題と労働問題は社会的な背景が異なる部分が多いですし、私は無軌道な?残業代バブル?を願っているわけでもありません。もともと、消費者金融業者が不安定な法律関係のうえで綱渡りの商売をしていたのに対し、労働者による残業代請求のルールは一九四七年から労働基準法に定められ、判例も蓄積されてきています。また、残業代請求は、各事業所の賃金体系や労働時間の性質、労働時間の把握方法などの個性が強いため、消費者金融業者に対する過払金請求訴訟のような単純化が困難です。だから、私は?残業代バブル?は起きないと考えています。
 しかし、一方で、労働者が会社に対して直接請求できるのが残業代です。労働基準法のみならず、労働組合法、労働契約法などの労働者の心強い味方もいます。多くの人が社会と会社を知り、労働者としての権利を知り、権利行使すれば、労働者全体の地位が確実に向上していくはずです。社会問題化することで労働行政による企業に対する規制・監督も厳しくせざるをえなくなるでしょう。本書を読んだ労働者が、自らの権利を実践することで、労働者全体の権利が向上し、過労死やブラック企業が一掃されていくことがこの本の究極の目的です。

第1章 残業とは何なのか
会社が残業をさせるのは犯罪!/会社に残業代を払わせるのは労働時間規制の第一歩/割増賃金の基礎時給
【コラム】労働時間規制の歴史のおはなし
第2章 残業代から会社が見える、社会が見える
残業代を請求すると会社にいられない!/“サービス残業”は“賃金泥棒”?/公務員バッシングと残業代/残業と過労死、うつ病や過労自死などの関係/自分を守るために
第3章 就職活動からはじまっている残業代請求
残業が少ない・残業代を払ってくれる会社にはいること/ワタミの大卒初任給が日本銀行より高く見えるカラクリ/基礎賃金は多く、年間所定労働時間数は少ないほうがいい/もちろん休日は多いほうがいい/長時間労働、深夜・早朝の労働はキツイ=健康によくない/残業代を払わない口実になる制度は気をつけろ!/記述があいまい、誇大広告の疑いがあるのは論外/ブラック起業は回避できるのか
第4章 私でも残業代を請求できますか?
個人事業者にされている/「あぁ、うちの会社は残業代とかないから」/「年棒制だから残業代はないよ」/固定残業代の本当の意味/変形労働時間制は使用者も鬼門/事業場外のみなし労働時間制は時代おくれ/最近目立つ脱法手段・裁量労働制/“名ばかり管理職”は違法
第5章 残業代請求のために今の職場でできること
そもそも労働基準法の「労働時間」とは何なのか/裁判所で労働時間と認定された様々なケース/労働時間の証拠集め/記録が無いなら自分で記録すればいいじゃない/労働時間以外の証拠集め
【コラム】地域別・分野別子会社
第6章 残業代の計算
賃金体系ごとの基礎時給の計算式/月給制の場合の具体的な計算/どういう残業に対してどのような割増賃金を請求できるのか/面倒くさい残業代計算はすべて「給与第一」で解決
【コラム】すでにある官製“残業代ゼロ”職場の悲惨な現実
第7章 未払い残業代の請求
労基署、労働組合、NPOに相談する/請求書を送り時効を止める/弁護士に相談する/司法書士、社会保険労務士はどうか/法的手段
【コラム】有給休暇の取り方

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