会社が支える働きざかりの介護

会社が支える働きざかりの介護

介護離職は会社にとって大きな損失。仕事と介護の両立支援を実践する企業・機関の取り組み事例を紹介。人事担当者必読です。

著者 小山朝子
ジャンル 単行本
■社会福祉・介護
■社会福祉・介護 > 介護
シリーズ シリーズ > 社会福祉・介護 > ワーク介護バランス
出版年月日 2015/06/10
ISBN 9784845113835
Cコード 2036
判型・ページ数 A5・100ページ
定価 本体1,200円+税

この本に関するお問い合わせ・感想

小山朝子(こやま・あさこ)
介護ジャーナリスト、介護福祉士。20代から9年8ヵ月、洋画家の祖母を介護した経験をもとに、
当事者・ジャーナリスト・介護職の視点から各地で講演。
執筆活動のほか、テレビや雑誌等での解説・コメントも多い。
『朝子の介護奮戦記』(まどか出版) 『イラスト図解 アイデア介護(全5巻)』(旬報社)ほか著書多数。
現在、日本在宅ホスピス協会役員、高齢者アクティビティ開発センター講師・評議員、
東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About(オールアバウト)「介護福祉士」ガイド等
もつとめる。

はじめに

 最初からそんなことを言っては身もブタもないとの指摘を受けるかもしれませんが、「介護が必要になったときに、これさえあれば安心というものはない」というのが、介護を行った当事者、そして専門家と呼ばれる立場からの率直な意見です。
 企業が行う介護支援策は、そもそもの意義が「介護を支援する」ものであるというより、仕事と介護の両立支援、つまり「介護の責任も果たしつつ、職場において生産性を落とさずに成果を出してもらう」ことが念頭におかれ、その支援策が介護者にとって全面的な助けになるとは言えません。さらに、今後は介護保険の利用負担について一定の所得以上の人は現行の一割から二割に引き上げられ、特別養護老人ホームの入所資格も現在の要介護1から要介護3以上に限定されることとなりました。利用者にとっては介護保険制度でさえも利用しづらい(できない)方向になっていくことが予想されます。
 だからといって介護保険制度や企業による支援策はなくてもいい、と申し上げているわけではありません。私自身の体験を振り返れば、介護保険によるサービスや自治体によるサービス、民間によるサービスなど、複数のサービスから「使えるものを選び、できるだけ活用しながら」、約一〇年にわたる介護生活を乗り切ってきました。介護には介護者自身の行動力、情報収集能力、コミュニケーション能力などによるところが多分にありますが、休暇の取得や転勤など個々のビジネスパーソンではどうにもならない問題、手が回らないこと、欠如している視点などを補い、解決へと導いてくれる一助となるのが、企業の支援策や介護保険制度のサービスで、それらは介護者の羅針盤ともいえる役割を果たしているからです。
 第一巻『ここまでできる働きざかりの介護』、第二巻『コミュニケーションで変わる働きざかりの介護』に続く、第三巻の本書はおもに介護両立支援策を導入している企業の事例を中心に構成されています。紹介した企業は私自身が直接足を運んで取材をし、まとめたものです。現在、両立支援策の導入や拡大を検討されている企業のご担当者様の一助になれば幸いです。
 本書の取材にご協力いただきました企業のご担当者様にはあらためて厚く御礼申しあげます。多忙ななか時間を惜しまず取材に同行して下さった編集担当者の今井智子さん、そして髪振り乱して仕事に明け暮れる私をさりげなく労り、一会社員の立場から率直な意見を聞かせてくれた夫にも感謝の意を表します。

シリーズ ワーク介護バランス
働きざかりの40代、50代、とつぜん親が倒れたら、あなたはどうする?
介護が仕事か、悩めるときに提案するのが「ワーク介護バランス」(仕事と介護の両立)
「介護と仕事の両立で悩んでいる」「これから介護と仕事が両立できるのか不安」という
ワーキングケアラーに向けて、介護保険制度など基本的な知識はもちろん、
介護「時短」のためのアイテムや工夫、上司・同僚とのコミュニケーション術、
シングル・夫婦・一人っ子介護などシチュエーションが異なる場合の対応法、
さらに、「ワーク介護バランス」をめざす企業の取り組みなどを紹介するシリーズです。
第I章 介護の実態を把握する
1 介護支援策はなぜ必要なのか
  介護支援策は国の活力にもつながる
2 アンケート調査で社員の意識を把握 〔株式会社ベネッセコーポレーション〕
  人事部が相談デスクを設け社員をサポート/
  半数以上が「制度や条件が整えば両立できる」と回答/両立は企業社会全体で取り組む
3 社員の目線に立った支援策を展開 〔双日株式会社〕
  社員と直接関わりながら情報を得る/休暇・休職ができる手厚い制度/
  お互い様の意識の浸透をめざして
4 【解説】両立支援に関する実態・ニーズの把握を行う
  社員のニーズをいかに把握するか
第II章 介護情報を提供する
5 「情報提供」と「個別相談・支援体制強化」を柱に 〔丸紅株式会社〕
  個人面談と調査で介護の不安が表面化/ハンドブックや個別相談会で社員をサポート/
  「不足はないか」で支援策を検討する
6 【解説】不安をもつ社員への情報提供の方法
第III章 相談できる仕組みづくり
7 お互い様意識の醸成をめざして 〔花王株式会社〕
  介護支援方針を明確に掲げる/時間的・経済的・心理的側面の課題をサポート/
  管理者向けの研修に介護のケーススタディを盛り込む
8 福利厚生サービスの活用
  知って得する福利厚生の介護支援サービス/介護度に応じて補助金が受けられる/
  アンケート調査やニーズに応じたセミナーの開催も
9 【解説】相談しやすい環境を整える
第IV章 話しやすい職場づくり
10 社員の話に耳を傾け支援策を展開 〔大成建設株式会社〕
ケアマネジャーとのやり取りに役立つツールを提供
11 【解説】管理職の対応がかぎを握る風土の醸成
第V章 会社の特性を生かした支援
12 共済会の枠組みを活用した手厚い支援 〔日本電気株式会社(NEC)〕
  経済援助とコミュニティの形成/自社運営の介護支援サイトで社員同士が情報交換/
  介護支援制度の利用者を増やすためには
13 特例制度で転居・転勤の不安を解消 〔株式会社日本政策金融公庫〕
  離職の不安のトップは「転居・転勤」/職員の声を反映させ安心につながる支援策を
14 裁量労働制など研究職限定の制度を導入 〔独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構〕
  セミナーの内容は「介護関連」の要望がトップに/研究職員に限定した支援策/
  体験談も読める充実したホームページ
15 【解説】継続できる両立支援策の要素とは
【コラム】転勤命令に伴う裁判~改正育児・介護休業法がもたらした影響
仕事と介護の両立に関する国の制度
第VI章 中小企業の介護支援
16 両立支援がきっかけで働き方全体の見直しに着手
   〔ジボダンジャパン株式会社+セントワークス株式会社〕
  『介護離職は会社の危機!』に触発されて/
  セミナーは複数回行い全体に浸透させることに意味がある/
  制度導入には人事担当者から上層部への「根回し」も
17 【解説】中小企業にこそ求められる介護支援策
  女性や高齢従業員の定着率の向上が期待できる/活用される介護支援策にするために/
  外部サービスや助成金の活用も
第VII章 ワーク介護バランス Q&A

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