世界の社会福祉年鑑2018〈2019年度版〉 18集
国際機関やNGO・NPOなどの実践事例、政治・経済・社会状況を知るための基本データや統計などを収録。
執筆陣には、社会福祉を専攻する研究者だけでなく、
経済学・政治学・社会学・人口統計学・文化人類学・保健衛生学などの専門家も加わり、
多角的な分析・考察がなされています。
世界各国の社会福祉・社会保障の動向を紹介した、比類のないレファレンス。
【特集】国際ソーシャルワークと社会福祉
日本では、「慈善活動」や「社会福祉の援助技術」といった狭い定義でとらえられがちなソーシャルワーク。
ところが海外に目を向けると、平和や平等や人権などの普遍的なテーマを追求する仕事として、
数多くの実績が積まれてきている。
本特集では、日本の社会福祉法人、公益財団法人、NGO、NPOなどによる発展途上国への支援活動を例に、
近年のソーシャルワークが果たしている役割を明らかにする。
◆編集委員(五十音順)
宇佐見耕一(うさみ・こういち)
同志社大学グローバル地域文化学部教授
岡 伸一(おか・しんいち)
明治学院大学社会学部教授
金子 光一(かねこ・こういち)
東洋大学社会学部教授
小谷 眞男(こたに・まさお)
お茶の水女子大学基幹研究院教授
後藤 玲子(ごとう・れいこ)
一橋大学経済研究所教授
原島 博(はらしま・ひろし)
ルーテル学院大学総合人間学部教授
◆執筆者(掲載順)
原島 博 ルーテル学院大学社会福祉学科教授
米田 裕香 独立行政法人国際協力機構(JICA)タイ国・高齢者のための地域包括ケアサ
ービス開発プロジェクト
東田 全央 独立行政法人国際協力機構(JICA)モンゴル国・ウランバートル市における
障害者の社会参加促進プロジェクト
徳永 景子 独立行政法人国際協力機構(JICA)セネガル事務所企画調査員
宮下 明子 独立行政法人国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局課題業務・選考課
課長補佐
福地健太郎 独立行政法人国際協力機構(JICA)人間開発部高等教育・社会保障グループ
社会保障チーム
高橋 洋平 独立行政法人国際協力機構(JICA)人間開発部高等教育・社会保障グループ
社会保障チーム
中井 裕真 公益財団法人日本ユニセフ協会広報室室長
石川美絵子 社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)常務理事
大場 亜衣 社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)ソーシャルワーカー
榎本 裕子 社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ)ソーシャルワーカー
下澤 嶽 静岡文化芸術大学文化政策学部教授
盛上 真美 ワールド・インデペンデント・リヴィング・センター・ネットワーク(WIN)
白村 直也 岐阜大学教育推進・学生支援機構助教
磯邊 厚子 聖泉大学在宅看護学部准教授
アルタン・ボリグ 内蒙古財経大学法学院ソーシャルワーク学科准教授
新木 秀和 神奈川大学外国語学部教授
小松 豊明 シャプラニール(市民による海外協力の会)事務局長
中島 早苗 認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
冨川 功喬 ワールド・インデペンデント・リヴィング・センター・ネットワーク(WIN)
国際プロジェクトチーム代表
〈 この本のポイント! 〉
*各国社会福祉の領域別(高齢者福祉/障害者福祉/児童・家庭福祉/貧困・最低生活保障)の動向、制度・政策の動きがわかる!
*歴史的に重要な国際機関・団体、NGO、NPO、福祉法人などの近年注目される取り組みがわかる!
*特集形式で集録した論文を通じて、最近の社会福祉をめぐる重要テーマがわかる!
*社会福祉領域の最新統計、データがわかる!
特集 国際ソーシャルワークと社会福祉
*総論:ソーシャルワークの国際社会福祉への接近
はじめに
1 ソーシャルワーク専門職のグローバル定義と国際ソーシャルワーク
2 社会開発の国際的潮流
(1) 第一期:社会インフラ時代
(2) 第二期:人間の基本ニーズ(BHN)アプローチの時代
(3) 第三期:人間開発(human development:HD)の時代
3 世界社会開発サミット(WSSD)の開催と成果
(1) 世界社会開発サミットの開催
(2) 「市民社会」セクターの新たな参加
4 国際人権レジームの進展
5 国際ソーシャルワークのアクターおよび実施体制
6 特集論文の要旨
まとめ
*JICAの社会保障分野およびソーシャルワーク関連の取り組み
1 JICAにおける取り組みの概要
2 ソーシャルワークに関する取り組み
(1) スリランカの障害分野におけるソーシャルワーク実践の事例
(2) ガボン共和国における精神保健福祉分野のソーシャルワークについて
(3) タイにおける高齢者支援分野でのソーシャルワーク、ケアマネジャー育成等の
取り組み
3 おわりに
*子どもの権利とソーシャルワークの国際的役割
はじめに
1 ユニセフとは?
(1) 発足の背景
(2) 現在の活動と優先課題
(3) ユニセフと日本
(4) ユニセフ協会の役割
2 ユニセフの歴史から見る国際開発協力のパラダイムシフト
(1) 人道から開発へ(創立~50年代)
(2) 子どもと若者を政府開発計画の中核に(60年代~70年代)
(3) ニーズから権利へ(80年代~90年代)
(4) MDGsとユニセフ(2000年代)
3 システムづくりのお手伝い
4 SDGsとユニセフ
(1) 「第3の波」が起きるまで
(2) 開発途上国と先進国での活動の接近
(3) SDGsとユニセフ協会
まとめ
*日本のNGOの成長とこれからの未来像
1 NGOの胎動
2 日本のNGOの発生と成長
(1) 60年代
(2) 70年代
(3) 80年代
(4) 90年代
(5) 2000年代
3 日本のNGOの活動領域と活動手法の特徴
(1) NGOの得意とする活動領域
(2) NGOが得意とする活動手法
4 NGO活動の環境の変化と新たな役割
5 4つの活動領域へ
(1) 平和に関する取り組み
(2) 人権に関する取り組み
(3) 福祉向上に関する取り組み
(4) グローバル化への対応
6 活動手法の多様化と広がりを
(1) 現地パートナーとの連携
(2) 現地政府の政策との連動
(3) ビジネス領域との連携
(4) グローバルな連携
7 まとめ
*養子縁組と移民・難民支援における国際ソーシャルワークの役割
はじめに
1 日本国際社会事業団(ISSJ)とは
(1) ISSJのはじまり
(2) 「国境を越えて愛の手を」
(3) 国際福祉ネットワーク(International Social Service=ISS)
2 国際ソーシャルワークとISSJ
(1) 国際ソーシャルワークの概念
(2) 多文化ソーシャルワーク・国際ソーシャルワーク
(3) 国際ソーシャルワークに必要な視点
(4) 国境を越える子どもの保護と福祉
3 国際ソーシャルワークの実践――国境を越えて移動する児童の福祉を守るために
(1) 海外の行政機関からの照会
(2) 多国籍親子の養子縁組に関する家庭調査
(3) ルーツ探し
(4) 難民支援
(5) ドメスティック・バイオレンス
(6) コミュニティ支援
おわりに
*国際協力におけるソーシャルワーカーの役割と課題
――当事者主体・中心のキャパシティ・ディベロップメントとエンパワメント
はじめに――インターナショナルソーシャルワーク(ISW)とは?
1 国際協力・開発へのソーシャルワークの介入と貢献
2 ソーシャルワークの視点を活かした「キャパシティ・ビルディング」
(1) 「キャパシティ・ビルディング」とは?
(2) 草の根組織団体の「キャパシティ・ビルディング」
(3) 【当事者の強み】に焦点を当てたキャパシティ・ビルディング
(4) メンバーのキャパシティ・ビルディング
(5) 資源の活用・ファンドレイジング
3 「障害と開発」分野から学ぶインクルーシブ・ディベロップメント
(インクルーシブな開発)のあり方
(1) 障害のメインストリーム化の促進
(2) 障害メインストリームの実現
4 ソーシャルワーカーが学ぶべき国際協力の基礎知識
(1) 組織マネージメント(計画から評価まで)
(2) プロジェクト・サイクル
(3) 組織内におけるコーチングとピアレビュースキルの向上
(4) パートナーシップとネットワークの構築
おわりに
第1部 各国社会福祉の現状
Ⅰ ヨーロッパ
*ロシア
基礎データ
概 観
1 政治状況
2 経済状況
――8項目の「協力プラン」と「ロシアにおける日本年」および日本におけるロシア年」の開催
3 社会状況
制度・政策の展開
1 近年の人口動態
2 近年の社会政策をめぐる動向――国家プログラムの展開
社会福祉の現状
Ⅰ 高齢者・障害者福祉
1 高齢者福祉
2 障害者福祉
Ⅱ 児童・家庭福祉
1 親の監護のない子どもへの対応
2 子どもの成育環境
3 女性に関わる政策
Ⅲ 失業者と貧困者の生活保障
1 失業手当の給付と就労支援
2 最低限の生活保障――最低生活費と最低賃金
コラム
ソーシャルワーカーの給与事情
ロシアの女性はいま――家庭の暴力に苦しむ女性を支援する
Ⅱ アジア
*モンゴル
基礎データ
概 観
1 地理、気候状況
2 政治
3 経済
4 社会
制度・政策の展開
社会福祉の現状
Ⅰ 高齢者福祉
Ⅱ 障がい者福祉
Ⅲ 児童・家庭福祉
Ⅳ 貧困・最低生活保障
*スリランカ
基礎データ
概 観
1 政治状況
2 経済状況
3 教育・保健状況
4 交通状況
5 社会状況
制度・政策の展開
1 スリランカの社会政策
2 スリランカの社会福祉政策
社会福祉の課題と展望
1 高齢化社会の介護問題
2 農園地域の女性と子どもの福祉
Ⅲ ラテンアメリカ
*エクアドル
基礎データ
概 観
1 政治
2 経済・社会
制度・政策の展開
1 社会福祉制度
2 コレア政権による福祉政策
3 条件付き現金給付政策
4 モレノ政権による福祉政策
5 生涯を通じた社会福祉政策の必要性
社会福祉の現状
Ⅰ 高齢者福祉
Ⅱ 障がい者福祉
Ⅲ 児童・家庭福祉
Ⅳ 貧困・最低生活保障
第2部 国際社会福祉
*フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
基礎データ
1 フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの沿革
(1)創設者は12歳のカナダ人
(2)児童労働者に会いに南アジア5ヵ国の旅へ
(3)日本でのフリー・ザ・チルドレンの設立背景
2 フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの組織および活動内容
(1)ビジョンとミッション
(2)2つの柱と活動内容
(3)Free The Childrenプログラム:具体的な活動事例
――モンゴル バヤンズルフ地区図書館設置運営事業(2008-2015年)
(4)WE Movement プログラム:具体的な活動事例
――子どもによる子どもの権利条約普及活動(2017年11月-)
3 課題と今後の展望
コラム
インド・カナダ若者共同宣言(要約)
「活動の7ステップ」と「Gift+Issue=Change!」
子どもを暴力から守るために
*シャプラニール=市民による海外協力の会
基礎データ
1 シャプラニールの沿革
(1)設立の経緯
(2)活動の変遷
2 現在の活動
(1)中期ビジョン
(2)子どもの権利を守る
(3)災害に強い地域をつくる
(4)フェアトレードを通じて「共生」できる社会をつくる
3 NGOを取り巻く現状と課題、そして今後を考える
*ワールド・インデペンデント・リヴィング・センター・ネットワーク
基礎データ
Ⅰ 自立生活運動の起こり
1 米国におけるIL運動の起こり
2 日米IL運動の連携――米国とともにILの理念を世界へ
Ⅱ 日本と各国CIL間の国際協力
Ⅲ 昨今の自立生活運動における国際間連携
1 日米間連携――いま改めて世界をみんなでリードする
2 GLOBAL IL SUMMIT
Ⅳ まとめ――世界中の誰をも取り残すことなくみんなが暮らしていける社会をつくる
コラム
エド・ロバーツ(Ed Roberts;1939-1995)
全国自立生活センター協議会
第3部 基本資料
特集関連資料
*ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(日本ソーシャルワーカー連盟)
*ソーシャルワーク専門職のグローバル定義解釈(日本社会福祉士会)
基本統計
*新生児・乳幼児死亡率(国別)
*平均寿命ランキング(国別・男女別)
*発展途上国の社会・環境指数
事項索引