更新日:2008年10月 7日
ワークルールを市民の常識に(081007)
近年の労働相談では若い労働者の相談が多く、その内容は耳を疑いたくなる。「会社を辞めたいが辞めさせてもらえない」「1日15時間働いているがせめて12時間にならないか」などおよそ労働法を知っていればありえないような話ばかりだ。
権利があってもそれを知らず行使できなければ意味はない。そういった思いから若年者に対する労働教育の必要性がいま叫ばれている。2007年10月に『15歳のワークルール』を出版した北海道大学の道幸哲也教授が中心となってNPO法人「職場の権利教育ネットワーク」が発足。さまざまな場面での権利教育の実現と支援の体制づくりが始まっている。また2008年8月に厚生労働省内に「今後の労働関係法制度をめぐる教育のあり方に関する研究会」が発足した。雑誌『世界』(岩波書店)10月号には「若者が生きられる社会のために」と題した共同提言が掲載された。労働法(ワークルール)を市民の常識にしていくことが求められている。そのうえで若いうちから労働者教育を施すことについて異論はないだろう。労働者の問題だけでなく、いずれ経営者になる者についても重要問題だ。いまの雇用破壊の問題は、労働法についての知識がない経営者に起因してい部分も大きい。
学校を卒業して、ほとんどの人が労働者として働き賃金を得て生活する。その根幹の部分がいま揺らいでおり、規制緩和の名の下に忘れ去られようとしている。自民党の総裁選では雇用についての議論がまったくなされなかったが、議論されるべき重要な問題である。
適切な防災対策とは(080901)
9月1日は防災の日。1923年9月1日の関東大震災から85年目になる。今年も前後して全国各地で防災訓練が行なわれた。東京では8月31日に首都圏直下地震を想定した総合防災訓練が、中央区や江東区などを会場に、自衛隊だけでなく在日米軍も参加して、行なわれた
いま、日本は地震学的にみて非常に活動度の高い時期を迎えているといわれる。現在、30年以内に発生する地震の確率は東海(M8.0)で87%、東南海(M8.1)60〜70%、南海(M8.1)50%などとされている。こうしたなかで地震対策が不可欠になっている。しかし、それは「予知」なのだろうか。これまで(東海地震については)「予知」を前提に災害の防止と軽減を図る体制(大規模地震対策特別措置法〔1978年成立〕)がとられてきた。たしかに長期的な予測は、研究の進捗とともに精度も高まってきたが、残念ながら「予知」(2〜3日以内にお起こるなど)にはまだほど遠い。この分野の研究がさらに進むことが切望されるが、現実的には私たちが受ける被害をどう最小化できるかという視点での防災対策が必要とされる。
東京大学の目黒公郎教授は、世界のさまざまな地震災害の現場を実際に歩いて調査してきた経験から防災対策の実現に最も重要なのは「災害イマジネーション」だと指摘する。これは実際に災害に直面したとき、自分のいる場所や役割、季節や天候、時刻などを考慮したうえで、時間経過もつかみながら自分のまわりで起こる出来事を具体的に想像できる能力ことだ(『間違いだらけの地震対策』)。市民にとって有効な防災対策・訓練はどうあるべきか。まずはお互いの「災害イマジネーション」の日常的な積み重ねと交流なしには適切な防災対策は進まないのではないか。
またもや外食大手「すかいらーく」で過労死(080729)
昨年(2007年)発足した「過労死をなくそう!龍基金」から贈られる中島富雄賞の授賞式が8月2日に行なわれる。今年の受賞者は、「名ばかり管理職」問題で日本マクドナルドと闘った現役マック店長・高野廣志さん。この賞は、過労死をなくす運動や働く人の地位向上に貢献した団体や個人に贈られる。受賞者が発表された直後の7月17日、新聞各紙は、昨年10月に外食大手「すかいらーく」の店長(32歳)が脳出血で死亡したのは過労が原因だったとして労災認定したことを報じている。彼は一年更新の契約社員という身分で店長という責任の重い仕事を任されていた。労災申請を支援していた労組によると彼の年収は300万円に満たなかったという。『肩書きだけの管理職』で紹介されている中島富雄さんも「すかいらーく」で店長として働き、長時間労働の末、2004年8月に過労死した。妻の晴香さんは、会社に労務管理の改善、再発防止の実施を訴え、会社も「真摯に努力する」と表明した。しかし今回、繰り返された事件をみるに、この表明になんの意味があったのか。前述した基金の代表を務める晴香さんもさぞ悔しい思いに違いない。
増える認知症と向き合う(080709)
厚生労働省の研究班の推計によれば全国の認知症高齢者の人数は2005年の約205万人から2035年には約445万人と倍増するという。増加は、埼玉県が3・1倍の24万9000人、千葉県は2・9倍の22万4000人、大阪府は2・5倍で29万5000人、東京都は2・4倍の42万5000人という見通しだ(「朝日新聞」2008/7/6)。
認知症については現行の対策では医療体制が不足しており、医療と介護の連携が不十分だと厚生労働省の有識者会議「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトチーム」は指摘。同チームは医療、介護双方の拠点に連携担当者を配置する方針を決めた。全国の介護支援拠点150カ所に認知症介護の専門職員を置き、認知症専門医師との連携体制を整備するという。厚生労働省は連携体制の整備に必要な財源を10億円程度と見込み、来年度の概算要求に盛り込む方針。
認知症は以前は「絶望の病」といわれたが、早期の発見と治療、そして適切なケアで症状の進行を予防、改善できることがわかってきた。認知症についての正しい認識と医師や介護専門職、家族・地域の連携がいま大きな課題となっている。




