なぜ母親は娘を手にかけたのか (居住貧困と銚子市母子心中事件)

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井上英夫・山口一秀・荒井新二 編著

A5判並製/128頁
定価 本体1,000円+税
発行日 2016年5月 3日
ISBN 9784845114634 C0036

安心して住み続けられる住居を追われたとき、あなたならどうしますか?
離婚して年頃の中学生の娘を抱えた母親が、日々の生活苦から家賃を滞納、県から公営住居を追われるという窮状に直面してしまい、自殺を考えながら、ついには愛する娘を手にかけてしまった。この悲惨な事件はなぜ起こったのか。社会全体に格差・不平等が広がり、貧困が拡大・深化する中で、誰にでも起こりえる一つの象徴的な事件。その具体的な局面や背景を明らかにし、このような事件が起こらない社会の在り方と仕組みづくりを提言する。

著者紹介

[編者]
井上英夫(金沢大学名誉教授、佛教大学客員教授、「千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団」団長)
山口一秀(中央社会保障推進協議会事務局長)
荒井新二(弁護士・自由法曹団団長)

[執筆者]
藤岡拓郎(弁護士・自由法曹団)
黒岩哲彦(弁護士・自由法曹団)
丸山慎一(千葉県議会議員)
湯澤直美(立教大学)
曽我千春(金沢星稜大学) 
田中武士(社会福祉士・精神保健福祉士)
林 治(弁護士・自由法曹団)
前澤淑子(中央社会保障推進協議会)
藤谷加津江(全国生活と健康を守る会連合会)
坂庭国晴(住まいの貧困に取り組むネットワーク)
妹尾七重(千葉県生活と健康を守る会連合会)

主な目次

はじめに
Ⅰ 千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件が問うもの
1 事件の経過
(1)母子の生活状況
(2)家賃の滞納状況
(3)銚子市の生活保護相談窓口の対応
(4)住宅の明け渡しに至る経緯
(5)事件当日
2 刑事裁判の経緯
3 本事件に対する千葉県の責
(1)公営住宅における家賃減免制度について
(2)明渡し訴訟の提訴・強制執行について
4 本事件に対する銚子市の責任
(1)生活保護の申請手続について
(2)他部署との連携について
5 国の責任
(1)連携の不足
(2)公営住宅の利用において経済的効率性を優先する姿勢
Ⅱ 取り組みと成果
国に対する取り組みと成果
1 国土交通省に対する取り組みの成果
(1)家賃減免のあり方―家賃減免の周知徹底と遡及適用
(2)公営住宅の明渡し請求の手続き
2 厚生労働省の本件に対する認識―「未然に防ぐことができた」「どこの地域でも起こりうる」
 県に対する取り組みと成果
1 調査から浮かび上がった三つの問題
 (1) 県営住宅は何のためにあるのか
 (2) 利用されなかった家賃減免制度
 (3) 生活保護担当の対応
 (4) 県の姿勢
2 再発させないために
 (1) 旧建設省通知の活用
 (2) 家賃減免制度の周知
Ⅲ 事件の根幹を問う―生命、人権の侵害・剥奪として
 居住貧困と住み続ける権利
1 どうしたら、母娘を救えたか。
2 住み続ける権利の意義と構造
(1)住み続ける権利の意義
(2)住み続けるための政策体系
(3)住み続ける権利の構造
3 居住福祉の権利
(1)憲法25条と居住の権利
(2)国際人権条約と居住の権利
(3)公営住宅法と居住の権利
4 人権保障の意義
 女性の人権保障の視角から銚子市母子心中事件を問う
1 経済困窮の出発点としての結婚
(1)女性自身の子ども期
(2)結婚による暗転
(3)離婚後も続く借金返済
(4)「夫婦の連帯責任」という罠
2 制度が構築する困難―労働と養育の狭間
(1)女性世帯主世帯と子どもの養育
(2)氷山の一角
(3)社会政策とジェンダー
3 裁かれる「母」
(1)生き続けようとした日々
(2)検察官の裁き
現代の貧困と生命権侵害―殺人、焼身自死を問う
1 貧困がもたらした生命権侵害
(1) 「承諾殺人」事件
(2) 焼身自死
2 生命権保障
現代の貧困と社会保障・社会福祉・生活保護政策
1 今、社会保障、社会福祉をどうとらえるか
(1) 現代の貧困における社会保障の意義
(2) 社会保障制度改革推進法の影響
(3) 社会福祉は何をすべきなのか
2 岩盤としての生活保護
3 今こそ人権としての社会保障、社会福祉を
(1) 社会保障の権利の構造と体系
(2) 司法福祉の視点
Ⅳ 事件を契機に考える―参加者の声
現場での十分な配慮、行政は想像力を持ってほしい(自由法曹団)
「生活相談」活動をもっと地域に、住民から見える活動へ(中央社会保障推進協議会)
地域に生活と健康を守る会づくりを(全国生活と健康を守る会連合会)
住宅政策の不在と居住貧困の解決に向けて(住まいの貧困に取り組むネットワーク)
この母の叫びに応えていたら(千葉県生活と健康を守る会連合会)
おわりに
銚子市母子心中事件関係資料
1 県営住宅家賃等の減免及び徴収猶予基準要綱
2 千葉県の家賃減免制度
3 県営住宅家賃減免申請書
4 公営住宅の滞納家賃の徴収における留意事項等について(平成26年11月5日国住備第135号)
5 面接記録票
6 県営住宅での強制退去に伴う母子心中事件の対応についての要望書(2015年1月19日、千葉県銚子市・県営住宅追い出し母子心中事件現地調査団)
7 厚労省「第1回 生活困窮者自立支援制度 ブロック会議説明資料」
8 事件に関係する法令・条例(日本国憲法/世界人権宣言/経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)/生活保護法/公営住宅法/住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律/千葉県県営住宅設置管理条例/銚子市個人情報保護条例)

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