コミュニケーションで変わる働きざかりの介護 (ワーク介護バランス(2))

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小山朝子

A5判並製/100頁
定価 本体1,200円+税
発行日 2015年6月10日
ISBN 9784845113828 C2036

働きながら介護をするには多くの人とのコミュニケーションが必要です。
医療職や介護職とのやり取り、会社の上司や同僚に介護をどう話すのか、きょうだいとの関係は?
コミュニケーションのとり方しだいであなたも介護上手になる。

著者紹介

小山朝子(こやま・あさこ)
介護ジャーナリスト、介護福祉士。20代から9年8ヵ月、洋画家の祖母を介護した経験をもとに、
当事者・ジャーナリスト・介護職の視点から各地で講演。
執筆活動のほか、テレビや雑誌等での解説・コメントも多い。
『朝子の介護奮戦記』(まどか出版) 『イラスト図解 アイデア介護(全5巻)』(旬報社)ほか著書多数。
現在、日本在宅ホスピス協会役員、高齢者アクティビティ開発センター講師・評議員、
東京都福祉サービス第三者評価認証評価者、All About(オールアバウト)「介護福祉士」ガイド等
もつとめる。

「はじめに」より

はじめに  介護上手はコミュニケーション上手

 そもそも「介護」というとみなさんはどのようなイメージを抱くでしょうか。
 自宅という密室で、介護が必要な高齢者を家族が黙々と世話をする、そんな内的なイメージを持つ人が多いと感じます。そうした側面があることも否めませんが、私自身の経験からいえば、医療職や介護職を中心に他者とコミュニケーションをはかる機会が随分と増えました。入院をすれば医師や看護師、医療ソーシャルワーカーらとコミュニケーションの必要性が生じました。さらに、在宅で介護をはじめる際には介護保険の手続きにかかわる地域の福祉関係者、認定調査員とのやりとりがあり、いざ介護サービスが利用できるようになるとケアマネジャーをはじめ、往診医、訪問看護師、ヘルパーや訪問入浴サービスのスタッフ、リハビリテーションを行う理学療法士といったスタッフがほぼ毎日わが家に出入りしていました。正直に申し上げれば、祖母の日常生活の介助よりも、医療職や介護職、親戚そして共に介護をする母親とコミュニケーションをはかることのほうが苦労したといっても過言ではありません。医師や看護師、介護職に要望を伝えるときに、こういう言い方をしたら相手は嫌な思いをするのではないかと考えすぎて、結局思いが伝えられなかったことは数知れず……。
 介護をしていた期間、私は自分の要望をいかに伝えるかで悶々と悩み続けてきたのです。介護をしているあいだ、コミュケーションがうまくはかれず、お断りした医師や介護職もいます。しかし、時間をかけてコミュニケーションを重ねることで、祖母をささえる「同士」のような関係を築けた方もいます。本書の企画は、そうした私自身の経験から発案しました。
 「介護上手」という言葉があるとしたら、それはいわゆる食事や入浴、排泄の介護技術が上手な人というよりもむしろ、介護が必要な本人、本人をともにささえる医療職や介護職、さらには家族や親戚、近所の人とかかわることのできる「コミュニケーション上手」な人なのではないでしょうか。
 自分で上手におむつ交換ができなくても看護師やヘルパーに頼んで代わりに行ってもらう、あるいはどうしたら上手にできるか助言を求める、さらには介護を受ける本人に「少し腰を上げて」と促してみることでわずかでも腰が上がり、介助が楽になったこともあります。コミュニケーションは「介護を一人で抱え込まず負担を軽くする」ための手段のひとつでもあるのです。
 本書では介護が必要になったときの職場におけるコミュニケーションについても触れています。
 ビジネスパーソンが、これまで培ってこられたコミュニケーションカは介護に直面した際にも大いに役立つはずです。
 本書が「介護上手」になるための一助になれば幸いです。

主な目次

第I章 職場でのコミュニケーション
1 介護で広がるコミュニケーション
  縦と横の広がりがうまれる/建前よりも本音が必要/真剣に向き合えば後悔はしない
2 介護が必要な部下に対する心得〈上司の立場から〉
  異変が見られる部下にアプローチするには/「大丈夫?」では見抜けない/
  話のよき「拾い手」になろう/「事例性」でアプローチするために
3 介護が必要になったことを上司に伝える〈部下の立場から〉
  仕事を辞め介護に専念すべきか上司に相談したい/早めに相談し対策を講じる
【コラム】 自分との対話を重ねたからこそ、後悔はしない
4 介護に疲弊する同僚とのコミュニケーション
  介護離職を考えている同僚を前にしたとき/気構えず明るく対応する/
  いたわるだけでなく、解決に向けた提案も
【コラム】「ヤングケアラー」を知っていますか
第II章 介護現場でのコミュニケーション
5 医療職とのコミュニケーション
  七割以上が「聞きたいことが聞けない」/
  医者にかかるときの虎の巻~質問パターンを決めておく~/
  コメディカルや「地域医療連携室」も活用し負担を軽減
6 施設におけるコミュニケーション
  家族の「口出し」が事故を防ぐ/特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いとは?/
  有料老人ホームを選ぶ際の注意点/特養や有料老人ホーム以外の選択肢もある
7 介護職とのコミュニケーションQ&A
  ケアマネジャーとのつきあい方/ヘルパーとのつきあい方
8 住宅改修~後悔しない事業者の選び方
  次々に改修をすすめてくる事業者に困惑/事業者の名簿を参考にする
【コラム】失敗しない!住まいのバリアフリー
第III章 家族やご近所とのコミュニケーション
9 感情的にならないために〈きょうだいの場合〉
  自分の都合しか考えない妹たちを怒鳴ってしまった/
  「自分だけに押し付けないでほしい!」と感情的になる前に
10 ご近所とのつきあい方
  ご近所の目を気にする母親/本人の意思を尊重して/ご近所に話すべきか
11 要介護者とのコミュニケーション
  自分が介護される立場だったらどう感じるか/「老いる」とは別の何者かになること/
  求められるのは「スロー」
第IV章 認知症をめぐるコミュニケーション
12 知っておきたい認知症の基礎知識1
  「四大認知症」の時代/認知症になると起きる症状
13 知っておきたい認知症の基礎知識2
  事件から見えてくる認知症の現在/「ケアなきケア」から「本人本位」の時代へ/
  注目される海外発のコミュニケーション技法
【コラム】声なき訴えを受けとめる力
14 事例から考える認知症の人とのコミュニケーション1
  【解説1】食べたことを忘れたときの対応例
  【解説2】排泄に失敗したときの対応例
  【解説3】夜間に徘徊をしようとするときの対応例
  【解説4】入浴を拒否するときの対応例
15 事例から考える認知症の人とのコミュニケーション2
  【解説1】身だしなみに気をつかわない場合の対応例
  【解説2】起きたがらない、暴力をふるう場合の対応例
  【解説3】収集癖がある場合の対応例
  【解説4】レクリエーションに参加しない、途中で放棄した場合の対応例
16 事例から考える認知症の人とのコミュニケーション3
  【解説1】「財布を盗んだだろ」と責められた場合の対応例
  【解説2】会話によるコミュニケーションができない場合の対応例
  【解説3】昔の自分にもどっているときの対応例
  【解説4】得意なことや日常生活動作ができなくなった場合の対応例
  【解説5】セクシュアルハラスメントの対応例
17 家族を支えるコミュニケーション
  夫の介護で疲弊する妻に、つい「頑張れ」と/十分頑張っている状況を理解する/
  家族会などに参加できない人もいる/「一緒に」というニュアンスを含めた一言を
【コラム】介護の多様化~増える男性介護者

おわりに――「なんとか乗り切っている人」の共通点

シリーズ ワーク介護バランス
働きざかりの40代、50代、とつぜん親が倒れたら、あなたはどうする?
介護が仕事か、悩めるときに提案するのが「ワーク介護バランス」(仕事と介護の両立)
「介護と仕事の両立で悩んでいる」「これから介護と仕事が両立できるのか不安」という
ワーキングケアラーに向けて、介護保険制度など基本的な知識はもちろん、
介護「時短」のためのアイテムや工夫、上司・同僚とのコミュニケーション術、
シングル・夫婦・一人っ子介護などシチュエーションが異なる場合の対応法、
さらに、「ワーク介護バランス」をめざす企業の取り組みなどを紹介するシリーズです。

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