冤罪弁護士

amazon.co.jpで購入する

書籍のご注文について

今村核

四六判並製/240頁/
定価 本体1,600円+税
発行日 2008年1月21日
ISBN 9784845110650 C0036

「被告人は無罪!」。その声を聴いた瞬間の今村弁護士の表情が忘れられない。そこには満面の笑みなどない…。(映画監督・周防正行氏推薦)

著者紹介

今村核(いまむら・かく) 1962年生まれ。
東京大学法学部卒業、1992年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。
冤罪事件、労働事件のほか、群馬司法書士会事件、保土ヶ谷放置死事件などを担当。現在、自由法曹団司法問題委員会委員長。

著者からのメッセージ

日本の刑事裁判の有罪率が99.9%を超えることはあまり知られていない。
 「司法統計年表」で起訴された人員と無罪判決を受けた人員を比べると、1950年ころは大体60人に一人が無罪判決を受けていた。1960年から1975年までは200人に1人になった。80年から90年は500人から1000に1人に減り、2000年ころになると、大体1000人から2000人に1人に減る。胸が痛くなる数字だ。

 こうした無罪率の減少は、かつては無罪とされた事件が現在では有罪とされることを示している。ここ数年、無罪判決を受ける人々は年間数十名ほどしかいない。しかし無実であるのに有罪判決を受けている人々の数は、それよりかなり多いのではあるまいか……。

 ふつう刑事裁判はどこか遠い世界のことと感じられ、たまに新聞やテレビが冤罪事件を報道しても、日常生活との結びつきは感じにくいかもしれない。

 しかし私の経験では、ごくふつうの暮らしをしている人々が、冤罪の犠牲にされている。日常生活のとなりには見えない陥穽が口をあけており、無関心は、その陥穽を広げるであろう。

 死刑などの大事件ではなく、たとえば罰金だとか軽い懲役刑、執行猶予がついたりする事件では、たとえ無実であっても、被告人は司法に絶望をしてたたかいをあきらめる。こうして冤罪・誤判が闇に葬られている。わが国の刑事裁判が、無実の被告人にとって、どんなに冷たい姿で聳え立っているのか、自分が被告人とされて初めて知ることになるのが現状だ。

 しかし、これでは同じカラクリがいつまでも続いてしまう。

 2009年度から裁判員制度が始まる。さいわい刑事裁判に対する市民的な関心は高まりつつあるようだ。ただ法曹界の動きは、「市民の負担を軽くするため、どうやって裁判を早く終わらせるか」という方向に流れつつある。しかし冤罪・誤判への反省抜きに「裁判を早く終わらせる」ことばかり志向すれば、状況はより深刻化する。そこに「もし選ばれてしまっても負担は軽いですよ」とのニュアンスが含まれていれば、刑事裁判そのものと、市民に対する驕りが感じられる。

 私は今こそ、刑事裁判の基本的なしくみや理念、そして運用の実情、とりわけ「無実の人が有罪にされる」ことが決して少なくないことを現場から伝えることが必要だと思う。

主な目次

第1部 冤罪の現場
1 地下鉄半蔵門線で間違えられた男
    解説 目撃証言の誤り
2 「浅草四号」事件
    解説 警察官による偽証と証拠の捏造
3 奇妙な同級生の事件
    解説 「人→物型捜査」か、「物→人型捜査」か
4 「起訴前弁護活動」の一事例
    解説 起訴前の国選弁護制度
5 寿司店の放火事件と虚偽自白
    解説 なぜ虚偽自白がうまれるのか
6 外国人風の男
7 痴漢に間違われた予備校生
    解説 痴漢冤罪――この10年と誤判の特色
8 はめられた男

第2部 なぜ冤罪がうまれるのか――日本の刑事手続
1 捜査
2 公訴の提起
3 公判手続
4 証拠
5 第一審判決
6 控訴審
7 上告審
8 再審制度
9 改正刑事訴訟法

書評掲載情報
「朝日新聞」「著者に会いたい」(2008年2月24日)
「救援新聞」(2008年2月25日)
「週刊ダイヤモンド」(2008年5月24日号)

連想検索によるこの本に関連する書籍

日本版「司法取引」を問う

日本版「司法取引」を問う

白取祐司+今村 核+泉澤 章 編著

就活前に読む 会社の現実とワークルール

就活前に読む 会社の現実とワークルール

宮里邦雄+川人博+井上幸夫

労働契約

労働契約

水口洋介

<!--い-->労働契約・有期労働契約

労働契約・有期労働契約

水口洋介