原発を授業する (リスク社会における教育実践)

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子安 潤+塩崎義明 編著

A5判並製/184頁
定価 本体1,800円+税
発行日 2013年12月10日
ISBN 9784845113415 C0037

子どもたちに真実を見る目を!
放射線・放射性物質の危険性と、原発の過去・現在・未来について、基本的な知識を子どもたちにどう伝えるか。小学校&中学校の「実践報告」や「授業プラン」を豊富に収録・解説した最新刊!

著者紹介

[編著者]
子安 潤(こやす・じゅん)
愛知教育大学教授(教育方法学・教育課程論)。著書に『リスク社会の授業づくり』(白澤社、2013年)、『反・教育入門』(白澤社、2006年)、『「学び」の学校』(ミネルヴァ書房、1999年)、『教室で教えるということ』(共著、八千代出版、2010年)、『ジェンダー/セクシュアリティの教育を創る』(共著、明石書店、2006年)ほか。
塩崎義明(しおざき・よしあき)
浦安市立高洲小学校教諭。編著書に『スマホ時代の授業あそび』(学事出版、2013年)、『スマホ時代の学級づくり』(学事出版、2012年)、『たのしくできる! 体と心をほぐす体育あそび』(ナツメ社、2009年)ほか。

[執筆者(掲載順)]
山田真子 元愛知県公立小学校教諭
植田一夫 滋賀県公立小学校教諭
西村美智子 東京都内私立小学校教諭
小寺隆幸 京都橘大学教授
鶴田敦子 生活やものづくりの学びネットワーク、元大学教員
鈴木智子 東京都公立小学校教諭
大矢英世 東京都内私立中学・高等学校講師
鈴木 直 福島県公立中学校教諭
滝口正樹 東京都公立中学校教諭

「はじめに」より

 原子力発電の教育を試みてみようと志す人に役立つことをねがって本書を編みました。原発や福島災害を取り上げたいと思い立ったとき、そもそもの教材研究から始めたいと思う人、授業の進め方やアイデアを探している人のどちらの要望にも応える本にしたいと願いました。だから、一時間の授業の進行が具体的にわかるかたちのプランもあります。教材と問いや説明も具体的に提案してみました。他方で、原子力発電や福島原発災害との向き合い方が見えてくるように、実際に起こったできごとやその社会的背景も読み込めるかたちの授業構想も掲載しています。
 ここに掲載したそれぞれの授業プランは、東日本大震災以前から試みていた記録も含んでいますが、どれもこの震災を深刻に受け止めて子どもたちの疑問や不安に応えようと新しく創造したものです。いたらない点もあるかもしれませんが、これまでの原子力発電の教育を作りかえることをめざして取り組みました。
 その際に、これからの原発教育で大事にしたいと考えたことが三つあります。
 一つは、偽りの「安心」ではなく、不安を直視していくしかないことは直視する知性を育てたいと考えました。
 まだ原発災害からわずかな時間しかたっていませんが、この惨劇と危機がそこにあるにもかかわらず、静かな日常が戻ってきたかのような状況があります。福島の地でさえも、一部では原発災害が見えないかのような暮らしが生まれていると聞きます。しかし本当は、小さなきっかけであの日からが記憶に蘇り、今と未来への不安でいっぱいになる子どもがいます。この不安に、「安心していいことは安心してもいい」と教えたいと考えましたが、安心を偽装したりするのではなく、わかっている限りの本当のことを教えたいと考えました。原発災害が起こった原因を可能な限り率直に示すことが、「しかたない」で片付けるのではなく、未来を変えていく力を育てることにつながると考えました。
 二つは、原発と放射線の危険性の評価について、あるいは原発の再稼働や将来のエネルギー政策について社会に異なる意見が存在している問題を積極的に取り上げつつ、一方的な判断を押しつけるのではなく、判断材料を提供するように心がけました。
 率直に言って、原発の教育は一部の人を除いてこれまであまりおこなわれてきませんでした。「原子力ムラ」の人たちは実施していましたが、その教育は明らかに誤りでした。学校教育も、原発の「安全神話」に荷担する誤りを犯していました。3・11によってそれは問い直しが迫られることになりました。そこで、議論のある事柄について積極的に賛否を問いつつ、価値判断に属することは子どもの自主的判断に委ねることを基本的見地としました。
 三つには、本書を手にすることで、一人ひとりが自分で創造的に原発と放射線あるいはエネルギーの教育を試みてもらえるようにと願いました。
 文部科学省や教育委員会、一部の専門家に任せるのではなく、一人ひとりの教師の教育実践の側から原発の教育をつくり直してみた試みが本書の記録です。ここでいちばん大事だと思われることは、それぞれの執筆者が自律的に具体的に試みたことだと思います。この自律的であろうとする志が、何より大事な大震災の教訓だと思います。全国で自律的な試みが広がっていくことが、なにより原発と放射線の不安を生きなければならない人びとの痛みを共有することとなり、未来を拓くのだと考えています。検討いただければ幸いです。                 子安 潤

主な目次

はじめに
リスク社会における原発教育の創造原発のテキスト・副読本の検討 子安 潤
【小学校・実践報告?】原発と人びとの生活 塩崎義明
【小学校・実践報告?】放射線の影響を考える 山田真子
【小学校・実践報告?】フクシマとヒロシマ 植田一夫
【小学校・実践報告?】つながり合って生きる―人間は核と共生できるかと問い始めた子どもたち 西村美智子・小寺隆幸
【授業の視点】 放射線と健康・安全な食品をめぐる授業づくり 鶴田敦子
【小学校・授業プラン】「問い」から始まる「放射線と食の安全」鈴木智子
【中学校・授業プラン】原発災害と食の安全を考える授業―未来につながる学びをめざして 大矢英世
【中学校・実践報告?】原発と福島―福島の中学生は原発をどうとらえたか 鈴木 直
【中学校・実践報告?】原発で働く人を視点とした授業 滝口正樹

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