平和と和解 (思想・経験・方法 一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書)

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足羽與志子+中野聡+吉田裕 編

A5判上製/420頁
定価 本体5,000円+税
発行日 2015年3月27日
ISBN 9784845114054 C3036

「平和と和解」がなぜかくも困難なのか—。冷戦終焉後の国際社会で国際公共政策上の重要課題として位置づけられてきた平和構築や「移行期の正義」論などとの対話と協働を意識しつつ、「平和と和解」が政策課題となったとたんに抜け落ちてしまうような思想・経験・方法といった領域の諸問題について検討する。

著者紹介

【編者】
足羽與志子(あしわ・よしこ) 一橋大学大学院社会学研究科、文化人類学
中野 聡(なかの・さとし) 一橋大学大学院社会学研究科教授、アジア太平洋国際史
吉田 裕(よしだ・ゆたか) 一橋大学大学院社会学研究科教授、日本近現代史

【著者】(執筆順)
間永次郎(はざま・えいじろう) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程、南アジア宗教・政治史
清水由希江(しみず・ゆきえ) 一橋大学大学院社会学研究科特別研究員、思想史
寺崎陽子(てらさき・ようこ) 一橋大学大学院社会学研究科特別研究員、文化人類学
沢辺満智子(さわべ・まちこ) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程/
                  山梨学院大学非常勤講師、文化人類学・養蚕史
根本雅也(ねもと・まさや) 一橋大学大学院社会学研究科特任講師、文化人類学・社会学
中村江里(なかむら・えり) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程/
                 関東学院大学非常勤講師、日本近現代史
小阪裕城(こさか・ゆうき) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程、国際関係史・国際関係論
佐藤雅哉(さとう・まさや) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程/
                サザンイリノイ大学カーボンデール校大学院歴史学科博士課程ABD、歴史学
中原聖乃(なかはら・さとえ) 中京大学社会科学研究所特任研究員、文化人類学
荒沢千賀子(あらさわ・ちかこ) 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程、
                  スペイン在住者の歴史経験をめぐるライフストーリー、教育実践論
シャンタル・メジェ(Chantal Metzger) ロワール大学(ナンシー)現代史教授
クロード・ドゥブリュ(Claude Debru)  フランス科学アカデミー会員・高等師範学校名誉教授
宮地尚子(みやじ・なおこ) 一橋大学大学院社会学研究科教授、文化精神医学
菊池美名子(きくち・みなこ) 一橋大学大学院社会学研究科非常勤講師、
                 社会学・医療人類学・トラウマ研究
ジャン・シャルル・ダルモン(Jean-Charles Darmon) 
                 ヴェルサイユ=サン・カンタン・アン・イヴリーヌ大学教授
有田英也(ありた・ひでや) 成城大学文芸学部教授、フランス文学・思想、近代ユダヤ研究

「はじめに」より

 本書は、一橋大学大学院社会学研究科において、二〇〇九年四月から三年間にわたって続けられた先端課題研究9「平和と和解の社会科学」およびその延長線上で「平和と和解の研究センター」が展開してきた研究活動の成果論文集である。
 私たちが考える「平和と和解の社会科学」とは何か。編者のひとりである足羽輿志子によれば、それは「人々と人々が生きる社会にその学問の基軸をおく科学、という広義の社会科学の立場から、今日、切望される平和と和解について、思考し、思索を深め、答えを追求し、そして、遠い道のりであっても、平和と和解への一歩を始めてその実現を目指す」(足羽輿志子・濱谷正晴・吉田裕編『平和と和解の思想をたずねて』大月書店、二〇一〇年、三頁)営みである。ここで私たちは、冷戦終焉後の国際社会で国際公共政策上の重要課題として位置づけられてきた平和構築や「移行期の正義」論などとの対話と協働を意識しつつ、政策科学からは一定の距離をおこうとする。むしろ私たちが捉えたいのは「平和と和解」が政策課題となったとたんに人々の掌からするりと抜け落ちてしまうような領域の諸問題であり、「平和と和解」がなぜかくも困難なのかを解き明かすことである。
 本書は、三部構成で一〇本の論文と五本の報告および討論の抜粋からなる。第Ⅰ部「思想」に収めた四本の論考は、そのような意味で、困難な思想課題としての「平和と和解」に対する果敢な挑戦の試みである。第Ⅱ部「経験」所収の六本の論考は、さまざまの角度からなされた「平和と和解」の困難をめぐる歴史経験のクリティカル・スタディーズである。第Ⅲ部「方法」には、「平和と和解の研究センター」が開催したシンポジウム「大規模暴力の語り方│日仏学際対話の試み│」から、五本の報告および討論の抜粋を収めた。

主な目次

解説 中野 聡 

 第 I 部 思 想
第1章 マハートマー・ガーンディー晩年における「世俗主義」について 間永次郎
第2章 W・ジェイムズの反帝国主義—プラグマティズムと平和主義についての一考察 清水由希江 
第3章 自然の「美しさ」をめぐる争いと制度—アメリカ国立公園局によるミッション66計画を事例に 寺崎陽子
第4章 育てる身体と感覚—『養蚕秘録』に見る人間と蚕の関係 沢辺満智子
   
 第 II 部 経 験
第5章 非政治的な価値をめぐる政治性—広島と人道主義 根本雅也
第6章 十五年戦争と元・兵士の心的外傷—神奈川県の精神医療施設に入院した患者の戦後史 中村江里
第7章 黒人運動の「外交」—全米黒人向上協会(NAACP)、国際連合と冷戦 小阪裕城 
第8章 アメリカ合衆国における中東平和アクティビズムの形成一九六七年以降のアメリカ・フレンド奉仕会のアラブ・イスラエル紛争への取り組みから 佐藤雅哉
第9章 科学がうち消す被ばく者の「声」—マーシャル諸島核実験損害賠償問題をめぐって 中原聖乃 
第10章 記憶をうしなった「たったひとりの生きのこり」 六歳スペイン少女のその後—マニラ戦スペイン総領事館襲撃事件(一九四五年) 荒沢千賀子
 
 第 III 部 方 法
第11章 フランス・ドイツの歴史研究における「極東」への関心 シャンタル・メジェ 
第12章 行動の神経生物学と攻撃に関する個体群生物進化のいくつかのデータとそれがもつ意味について クロード・ドゥブリュ 
第13章 トラウマを耕す:ドゥブリュ教授の報告への応答 宮地尚子/菊池美名子 
第14章 暴力の表象と文学ジャンルの倫理—ジョナサン・リテル『慈しみの女神たち』からカタルシスのリベルタン批評へ ジャン・シャルル・ダルモン
第15章 翻訳者の使命、あるいは虚構に倫理を見出すことの困難さについて—ダルモン教授の報告への応答 有田英也
第16章 討論から クロード・ドゥブリュ+宮地尚子+有田英也+ジャン・シャルル・ダルモン+シャンタル・メジェ

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